フラクタル、カオス、パターン形成、複雑系とは


最近の非線形科学のトピックスのキーワードとしてカオス、フラクタル、パターン形成、複雑系などの言葉がある。

カオス

非線形現象を記述するのに、非線形方程式が用いられることがある。非線形方程式で、温度差などのパラメータを変化させていくと、方程式の定性的な性質が変化することがある。これを分岐現象という。時間的に定常な解からから振動解が生じる分岐をホップ分岐という。さらにパラメータをあげていくと、一定の周期をもつ振動解が不安定化し、いくら待っても元に戻らず、彷徨的な軌道をとる解が生じることがある。この決定論的な方程式にしたがうランダム性をもつ解をカオス解という。力学法則にしたがう時計じかけの世界にも予測不可能性があるという発見は重要と考えられている。図はローレンツ方程式のカオス解の軌道である。

フラクタル

カントール集合やシルピンスキ図形のような全体とその部分が似ている、自己相似な図形をフラクタルという。フラクタル図形はフラクタル次元と呼ばれる非整数の次元で特徴づけられる。拡散場中での成長パターン、カオスのアトラクタ、乱流の微細構造などさまざまな分野でフラクタルの概念が用いられている。さらに一般的に統計量がべき状の分布をもつ現象が地震の発生頻度や株価の変動などいろいろな分野で見つかってきており、これらを研究する分野はフラクタル科学と呼ばれている。図は正三角形を4つに分け、真中の正三角形を抜いていく操作を何回も繰り返して得られるシルピンスキ図形である。

ソリトン

パルス状の局在した非線形波動をソリトンという。水面波や光ファイバー中などで観測されている。大振幅の波が非線形性でより急峻になる傾向と波の分散性で平らになる傾向がつり合って一定の振幅で局在したパルス波動になる。数学的には完全可積分な波動方程式の解として表される。2個のソリトンが衝突しても衝突の前後でパルス形状や速度は維持される。波動にもかかわらず粒子的に振る舞うのでソリトンという粒子的な名前(フォトン、エレクトロンなどの〜オン)がついている。

パターン形成

流体対流や化学反応系などの空間的に広がった系における非線形非平衡現象は空間的なパターン(模様)の生成として見える。流体対流ではロール状や蜂の巣状の対流パターンが現れる。BZ反応などでは標的パターンや渦巻きパターンが現れる。理論的には非線形偏微分方程式の解析や数値計算でパターン形成が説明されることが多い。図は5次の複素ギンツブルグ-ランダウ方程式の数値計算で得られた局在渦巻きパターンである。

複雑系

様々な要素からなる系が相互作用しあって何か全体的な秩序や構造ができ、さらにそれが各構成要素に影響を及ぼしあっているような系。強い非線形性をもっている系を扱う点で非線形力学系と関連がある。生物や経済のような系も対象としている。従来の科学の要素還元主義を越える試みと見なされることもある。地震のモデルに適用される自己組織化臨界現象のモデルやスケールフリーネットワークのようなべき的構造を持つネットワークも複雑系の例とされる。

非線形物性学研究室のホームページにもどる。